イスラム文化に触れて。ドバイ訪問

ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の共通点と福音の光の独自性
                                       2014.4.13 東京聖書読者会 高橋照男

@世界の宗教人口ランキング・億 (世界総人口72億人. 2013年)

@キリスト教 20.0  Aイスラム教 10.0 Bヒンズー教 7.6                                                                                        C仏教    3.4   D シーク教   0.2 Eユダヤ教   0.13                                                         

Aユダヤ教、キリスト教、イスラム教は唯一神教で、且つアブラハムを敬う  A−1)口語訳 出  3:13-15                         3:13 モーセは神に言った、「わたしがイスラエルの人々のところへ行って、彼らに『あなたがたの先祖の神が、わたしをあなたがたのところへつかわされました』と言うとき、彼らが『その名はなんというのですか』とわたしに聞くならば、なんと答えましょうか」。                    3:14 神はモーセに言われた、「わたしは、有って有る者」。また言われた、「イスラエルの人々にこう言いなさい、『「わたしは有る」というかたが、わたしをあなたがたのところへつかわされました』と」。            3:15 神はまたモーセに言われた、「イスラエルの人々にこう言いなさい『あなたがたの先祖の神、アブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神である主が、わたしをあなたがたのところへつかわされました』と。これは永遠にわたしの名、これは世々のわたしの呼び名である。            

A−2)塚本訳 マタ 8:11                               8:11 わたしは言う、(最後の日には、このような信仰のあつい)大勢の人が『東から西から』来て、天の国でアブラハムやイサクやヤコブと共に宴会につらなり、       

A−3)塚本訳 Uコリ11:22                             11:22 あの人たちはヘブライ人だというのか、わたしもだ。イスラエル人だというのか、わたしもだ。アブラハムの子孫だというのか、わたしもだ

Bイスラム教はユダヤ教の完成を目指す。 ムハンマド(モハメッド。イスラム教の開祖AD531?632)こそアブラハムの信仰を純粋に正しく継承する最後の預言者。回教(イスラム教)はユダヤ教の完成である(井筒俊彦)。

コーラン(井筒俊彦訳 岩波文庫5871-5874)カッコ内は訳者の敷衍と説明

241 汝らの手のもとなるもの(『旧約』の律法)の真理の確証としてわしが[天より]下したもの(『コーラン』を指す)を信仰せよ。(「コーラン」は『旧約』を否定するものではなくて、かえってこれを確証するものである。つまり回教はユダヤ教の完成でるというのが『コーラン』の立場である)                         

2123 主よ、彼らの間に、彼らの一人を使徒として興(おこ)し、彼らに向かって汝の徴(コーランを指す)を読み聞かせ、彼らに聖典と聖知とを教え、彼らを浄(きよ)めしめ給え。まことに汝は全能にして全知におわします」(これによるとマホメットが起こることはすでにアブラハムとイスマイルの願いであったということになる)と。                       2124 されば、その心愚鈍な者でなくして何人がイブラーヒームの宗教を嫌悪しようぞ。彼(アビラハム)こそは我ら(アッラー自称)自ら現世において彼を特に選んだ者。まことに来世においても彼はまた、正しき人の内に数えられるであろうぞ。                        

Cパレスチナ紛争の源流。アブラハムがサラに産んだイサクの子孫がユダヤ民族、女奴隷ハガル産んだイシマエルの子孫がアラブ民族。民族紛争の原因はルーツがアブラハムという人間であるから。                C−1口語訳 創  16:3-4                                                                  16:3 アブラムの妻サライはそのつかえめエジプトの女ハガルをとって、夫アブラムに妻として与えた。これはアブラムがカナンの地に十年住んだ後であった。        16:4 彼はハガルの所にはいり、ハガルは子をはらんだ。彼女は自分のはらんだのを見て、女主人を見下げるようになった。                           

C−2)口語訳 創  17:1-4                              17:1 アブラムの九十九歳の時、主はアブラムに現れて言われた、/「わたしは全能の神である。あなたはわたしの前に歩み、全き者であれ。                 17:2 わたしはあなたと契約を結び、/大いにあなたの子孫を増すであろう」。     17:3 アブラムは、ひれ伏した。神はまた彼に言われた、               17:4 わたしはあなたと契約を結ぶ。あなたは多くの国民の父となるであろう。    17:5 あなたの名は、もはやアブラムとは言われず、/あなたの名はアブラハムと呼ばれるであろう。わたしはあなたを多くの国民の/父とするからである。

C−3)口語訳 創  17:15-16                             17:15 神はまたアブラハムに言われた、「あなたの妻サライは、もはや名をサライといわず、名をサラと言いなさい。                          17:16 わたしは彼女を祝福し、また彼女によって、あなたにひとりの男の子を授けよう。わたしは彼女を祝福し、彼女を国々の民の母としよう。彼女から、もろもろの民の王たちが出るであろう」。

C−4)口語訳 創  21:9-14

21:9 そのとき、サラは、エジプトの女ハガルがアブラハムに産んだ子が、自分の子イサクをからかっているのを見た。

21:10 それでアブラハムに言った。「このはしためを、その子といっしょに追い出してください。このはしための子は、私の子イサクといっしょに跡取りになるべきではありません。」

21:11 この事で、アブラハムはその子のために非常に心配した。

21:12 神はアブラハムに言われた、「あのわらべのため、またあなたのはしためのために心配することはない。サラがあなたに言うことはすべて聞きいれなさい。イサクに生れる者が、あなたの子孫と唱えられるからです。

21:13 しかし、はしための子もあなたの子ですから、これをも、一つの国民とします」。

21:14 そこでアブラハムは明くる朝はやく起きて、パンと水の皮袋とを取り、ハガルに与えて、肩に負わせ、その子を連れて去らせた。ハガルは去ってベエルシバの荒野にさまよった。 

Dユダヤ教とイスラム教は共にイエスを「神の子」ではなく、預言者とみなす。       D−1)塚本訳 マタ 16:13-14
16:13
ピリポ・カイザリヤ地方に行かれたとき、イエスはこう言って弟子たちに尋ねられた、「世間の人は人の子(わたし)のことをなんと言っているか。」
16:14
彼らが言った、「あるいは洗礼者ヨハネ、あるいは預言者エリヤ、あるいはエレミヤとか(昔の)普通の預言者とか言う者があります。」
                               

D−2)塚本訳 ルカ 7:15-16
7:15
すると死人が起き上がって物を言い出した。イエスは『彼を母に渡された。』
7:16
皆が恐れをいだいて、「大預言者がわたし達の間にあらわれた」とか、「神はその民を心にかけてくださった」とか言って、神を讃美した。
                                      

D−3)塚本訳 マタ 21:10-11
21:10
やがてエルサレムに着かれると、都中が「この人はだれだろう」と言って騒ぎたった。
21:11
「この人はガリラヤのナザレの預言者イエスだ」と群衆は言った。

D−4)塚本訳 ヨハ 4:16-19                             4:16 イエスが言われる、「行って、あなたの夫をここに呼んで来なさい。」       4:17 女が答えた、「わたしには夫はありません。」イエスが言われる、「『わたしには夫はありません』と言うのは、もっともだ。                     4:18 五人の夫とは別れ、今のは、あなたの夫ではないのだから。あなたの言ったことは本当だ。」                                    4:19 女が(びっくりして)言う、「主よ、わかりました、あなたは預言者です。          

Eイエスにはアブラハムよりも「大いなる者」という自意識があった     E−1)塚本訳 ヨハ 8:57-58                              8:57 するとユダヤ人がイエスに言った、「君はまだ五十にもならないのに、アブラハムに会ったのか。」                                 8:58 イエスは言われた、「アーメン、アーメン、わたしは言う、アブラハムが生まれる前から、わたしはいたのだ。」                        

E−2)塚本訳 マタ 12:6
12:6
わたしは言う、(ダビデ王よりも、祭司よりも、)宮よりも大きい者が(今)ここにいる

E−3)塚本訳 マタ 12:42
12:42
また、南の国(シバ)の女王がこの時代の人と一しょに(最後の)裁きの(法廷に)あらわれて、この人たちの罪が決まるであろう。というのは、彼女は地の果てからソロモン(王)の知恵を聞きに(エルサレムに)来たが、(この人たちは、)いまここにソロモンよりも大きい者がいる(のに、それに耳を傾けない)からである。
                            

E−4)塚本訳 ルカ 10:23-24
10:23
それから特に弟子の方へ振り向いて言われた、「あなた達が(いま)見ているものを見る目は幸いである。
10:24
わたしは言う、多くの預言者と王とは、あなた達が(いま)見ているものを見たいと思ったが見られず、あなた達が(いま)聞いているものを聞きたいと思ったが、聞かれなかったのである。」

E−5)塚本訳 ヨハ 4:25-26                             4:25 女が言う、「キリストと言われる救世主が来ることは知っています。救世主が来れば、わたし達に何もかも知らせてくださるでしょう。」                  4:26 イエスは言われる、「あなたと話しているわたしが、それだ。                                

F人間は生まれつき不自由な罪の奴隷。人間の平和運動には限界がある。

F−1)塚本訳 ヨハ 8:33-34
8:33
しかし彼らは(その意味がわからずに)答えた、「わたし達は
アブラハムの子孫で(自由人で)ある。いまだかつてだれの奴隷にもなったことはない。どうして『あなた達は自由になる』と言われるのか。」
8:34
イエスは答えられた、
「アーメン、アーメン、わたしは言う、罪を犯す者は皆罪の奴隷である。

 

F−2)塚本訳 ルカ 13:16   
13:16
この女はアブラハムの末であるのに、十八年ものあいだ、悪魔が縛っていたのだ。安息の日だからとて、その(悪魔の)縄目から解いてはならなかったのか。」

 

F−3)塚本訳 ロマ 7:24-25

7:24 なんとわたしはみじめな人間だろう!だれがこの死の体から、わたしを救い出してくれるのだろうか。

7:25 ──神様、感謝します、わたし達の主イエス・キリストによって!──従って、このわたしは理性では神の律法に仕えるが、肉では罪の法則に仕えるのである

G神の霊によって「新しく生まれた」人間はイエスを神の子と告白する     G−1)塚本訳 マタ 16:15-17                                                                    16:15 彼らに言われる、「では、あなた達はわたしのことをなんと言うのか。」    16:16 シモン・ペテロが答えて言った、「あなたは救世主(キリスト)、生ける神の子であります!」                                  16:17 するとイエスは(喜んで)ペテロに答えられた、「バルヨナ・シモン、あなたは幸いだ。これをあなたに示したのは血肉([人間]の知恵)でなく、わたしの天の父上だから。

G−2)塚本訳 Tコリ12:3
12:3
だから(霊の見分け方について、)あなた達に次のことを知らせる、神の霊に感じて語る者は、だれも 呪われよ、イエス!とは言わない、また
聖霊に感じてでなければ、だれも、イエスは主と言うことは出来ない。

H信仰と服装。イスラム女性の黒装束(アバヤ)は男の欲望の目からの防衛。H−1)口語訳 創  12:11-13                                              12:11 エジプトにはいろうとして、そこに近づいたとき、彼は妻サライに言った、「わたしはあなたが美しい女であるのを知っています。                 12:12 それでエジプトびとがあなたを見る時、これは彼の妻であると言ってわたしを殺し、あなたを生かしておくでしょう。                        

H−2)塚本訳 ヨハ 1:12-13                             1:12 しかし受け入れた人々、すなわち、その名を(神の子であることを)信じた人には一人のこらず、神の子となる資格をお授けになった。                 1:13 この人たちは、人間の血や、肉の欲望や、男の欲望によらず、神(の力)によって生まれたのである。

H−3)塚本訳 コロ 2:20-22                             2:20 もし君達が、(今言ったように洗礼によって)キリストと共に死に、此世の元素の霊(の支配)から離れたのなら、何故(なお)この世に生きている者のように、      2:21 「手をつけるな、味わうな、触るな」という規則に縛られるのか。         2:22 これら(禁断の物)は皆使えば消え失せるように出来ていて、『人間の訓戒と教え』によるものである(から、少しの心配もない)。

 

 

 

 

 

イスラム教の巨大モスク(アブダビ)    内部では女性は黒装束(アバヤ)が必要。

 

 Iイスラム教の強さの秘密

イスラム教徒は「啓典(けいてん)の民」と言われている。モスク内に大量の「啓典」が置かれてあった。 (啓典とは、イスラム教において唯一神(アッラーフ)から諸預言者に下された四つの啓示の書物のこと。旧約聖書、新約聖書を内包する。

1.ムーサー(モーセ)に下された『タウラート』(『モーセ五書』)

2.ダーウード(ダビデ)に下された『ザブール』(『詩篇』)

3.イーサー(イエス)に下された『インジール』(『福音書』)

4.ムハンマドに下された『クルアーン』(『コーラン』)

また、クルアーンを、唯一神がムハンマドを通じて伝えた言葉として、教典にし、これに従うことをもいう。・・・ウィキペディア)

イスラム教はコーランだけでなく旧約聖書、新約聖書を内に取り込んでいるところにその強さの秘密があるように感じられた。

 

Jイエスは旧約の預言者よりも高度な意識を抱いていた          J−1)塚本訳 マタ 5:27-30                             5:27 あなた達は(昔の人がモーセから、)『姦淫をしてはならない』と命じられたことを聞いたであろう。                               5:28 しかしわたしはあなた達に言う、情欲をもって人妻を見る者は皆、(見ただけで)すでに心の中でその女を姦淫したのである。                    5:29 それで、もし右の目があなたを罪にいざなうなら、くじり出して捨てよ。体の一部が無くなっても、全身が地獄に投げ込まれない方が得であるから。           5:30 もしまた右の手があなたを罪にいざなうなら、切り取って捨てよ。手足が一本無くなっても、全身が地獄へ行かない方が得であるから。

 

K「キリストを着せられる」ことによって律法は終わり、キリスト信者はユダヤ教から自然に分離していった      

 

K−1)塚本訳 ロマ 10:4
10:4
(では律法を守ることが、なぜいけないか。律法はキリストによって目的を達し、もうなくなってしまったからである。)すなわち、キリストは(御自分を)信ずる者が一人のこらず義とされるために、律法の終りとなられたのである。

 

K−2)塚本訳 ロマ 13:14                               13:14 主イエス・キリストを着なさい。肉をいたわるのはよいが、情欲に陥らないように。

K−3)塚本訳 ガラ 3:26-27                             3:26 (なぜか。)あなた達はキリスト・イエスを信ずる信仰によって、みな神の子だからである。                                   3:27 すなわちキリストへと洗礼を受け(て彼のものとなっ)たあなた達はみな、キリストを着たからである

K−4)塚本訳 ピリ 2:15
2:15 これは君達が非難すべき所でなく、純真であって、『曲ったねじくれた(この)時代』の真中にあって『瑕なき神の子』とならんためである。(まことに)君達はこの時代にあって、生命の言を堅く守りながら、この(暗い)世に星のように輝いているのである                        

K−5)塚本訳 使  13:45-46

13:45 すると(神の言葉は自分たちだけのものと思っていた)ユダヤ人たちは、(異教人の)群衆を見て嫉妬にかられ、(イエスを)冒涜しながら、パウロの話すことに反対した。

13:46 そこでパウロとバルナバとは公然こう宣言した、「神の言葉は(お約束どおり)まず第一に、君たち(ユダヤ人)に語られねばならなかった。(だから、そうしたのだ。)しかし君たちがそれをはねつけ、自分で自分を永遠の命にふさわしからぬ者とするので、それでは、よし、異教人(の伝道)へ方向をかえる。

 

K−6)塚本訳 マタ 11:11

11:11 アーメン、わたしは言う、女の産んだ者の中に、洗礼者ヨハネより大きい者はまだ出たことがない。しかし天の国で一番小さい者でも、彼より大きい

 

Lユダヤ教、キリスト教、イスラム教は共に類似。しかしキリスト教の一番大切で他の宗教との決定的な違いは「罪の赦しと復活」。これが福音の光。

 

L−1)塚本訳 Tコリ15:3-5

15:3 まえにわたしが(福音の)一番大切な事としてあなた達に伝えたのは、わたし自身(エルサレム集会から)受けついだのであるが、キリストが聖書(の預言)どおりにわたし達の罪のために死なれたこと、

15:4 葬られたこと、聖書どおりに三日目に復活しておられること、

15:5 またケパに、それから十二人(の弟子)に、御自分を現わされたことである。

 

L−2)塚本訳 エペ 2:14-16
2:14
何故なら、彼(キリスト)が私達の『平和』であって、(今まで離反していたイスラエルと異教人の)両者を一つにし、(その仲を割いていた)仕切りの籬なる敵意を取り除け給うたからである。すなわちその肉で、
2:15
(あらゆる)命令規則から成る律法を廃止し給うたのである。これは(今まで敵であった)この二つの者を己において一つの新しい人に創造りかえて平和を作るため、
2:16
かくてまた十字架によって二つの者を一つの体において神と和睦させ、十字架において(神と人との間の)敵意を殺すためである。

 

Mキリスト信者がキリストから離れられない理由

M−1)塚本訳 ヨハ 6:68

6:68 シモン・ペテロが答えた、「主よ、(あなたを離れて)だれの所に行きましょう。永遠の生命の言葉はあなただけがお持ちです(から)。

 

M−2)塚本訳 ロマ 8:39

8:39 高い所のものでも低い所のものでも、その他どんな創造物でも、わたし達の主キリスト・イエスによる神の愛から、わたし達を引き離すことはできない。

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