塚本虎二訳新約聖書。その敷衍に見る信仰の姿勢

---「聖書で聖書を読む」方法で正統信仰を指向し継承している---

第41回塚本虎二先生記念会

 

2014年10月26日 東京聖書読者会 高橋照男

 

( )は敷衍


@(という話)・・譬話の読み方。(マタ2512、マル128、ルカ10351682015

@−1)塚本訳 ルカ 10:35-37(親切なサマリヤ人の話)
10:35
そればかりか、次の日、デナリ銀貨[五百円]を二つ出して旅篭の主人に渡し、『この方を介抱してくれ。費用がかさんだら、わたしが帰りに払うから』と言った
(という話)
10:36
(それで尋ねるが、)この三人のうち、だれが強盗にあった人の隣の人であったとあなたは考えるか。(同国人の祭司か、レビ人か、それとも異教のサマリヤ人か。)」
10:37
学者はこたえた、「その人に親切をした(サマリヤの)人です。」イエスが言われた、「行って、あなたも同じようにしなさい。(そうすれば永遠の命をいただくことが出来る。)」

@−2)塚本訳 ルカ 16:8-9(不埒な番頭の譬、富の利用について)
16:8
すると主人はこの不埒な番頭の利巧な遣り口を褒めた
(という話)。この世の人は自分たちの仲間のことにかけては、光の子(が神の国のことに利口である)よりも利巧である。
16:9
それでわたしもあなた達に言う、あなた達も(この番頭に見習い、今のうちにこの世の)不正な富を利用して、(天に)友人[神]をつくっておけ。そうすれば富がなくなる時、その友人が永遠の住居に迎えてくださるであろう。

A(次の譬を聞け)(なぜであろう)・・・前後の意味を通す。           

A−1)塚本訳 ルカ 17:7(役に立たぬ僕)
17:7
ただ
(次の譬を聞け。)あなた達のうちに耕作、あるいは牧畜をする僕を持っている人があって、その僕が畑からかえって来たとき、『すぐここに来て食事をしなさい』とその人は言うだろうか。

A−2)塚本訳 マタ 20:1(葡萄畑の労働者の譬)
20:1
(なぜであろう。)天の国は、家の主人が夜の引明けに出ていって、葡萄畑に労働者を雇うのに似ているからである。                             

B(どんな理由があっても)(皆まで聞かず)・・・伝道者の苦労

B−1)塚本訳 マタ 19:6(離婚問題)                           19:6 従って、もはや二人ではない、一体である。だから夫婦は(皆)神が一つの軛におつなぎになったものである。(どんな理由があっても)人間がこれを引き離してはならない。」

塚本訳 ルカ 15:17 (放蕩息子の譬)                              15:17 ここで(はじめて)本心に立ち返って言った。──お父さんのところでは、あんなに大勢の雇人に食べ物があり余っているのに、(息子の)このわたしは、ここで飢え死にしようとしている。……

塚本訳 ルカ 15:22 (放蕩息子の譬)                             15:22 しかし父は(皆まで聞かず)召使たちに言った、『急いで、一番上等の着物をもって来て着せなさい。手に指輪を、足にお靴をはかせなさい。

B−2)塚本訳 ルカ 20:38 (復活問答)                         20:36 復活によって生まれる彼らは、天使と同じであり、神の子であるので、もはや死ぬことが出来ない、(従って子を産む必要がない)からである。

C(聖書に書いてある)・・・「聖書で聖書を読む」方法で正統信仰を継承      

C−1)塚本訳 ルカ 20:17 (悪い小作人)                             20:17 イエスは彼らをじっと見て言われた、「では、こう(聖書に)書いてあるのはなんの意味であるか。──』大工たちが(役に立たぬと)捨てた石、それが隅の土台石になった。』

C−2)塚本訳 マタ 22:31 (復活問答)                             22:31 死人の復活については、(聖書にはっきり書いてある。)神があなた達に言われたこの言葉を読んだことがないのか。──

C−3)塚本訳 ルカ 24:44-46 (弟子たちへの最後の言葉)                           24:44 それから彼らに言われた、「(あなた達が見聞きした)これらのことは、わたしがまだあなた達と一しょにいたとき、わたしについてモーセの律法と預言書と詩篇と[聖書]に書いてあることは一つのこらずきっと成就する、と話したその言葉(が実現したの)である。」

24:45 それから聖書をわからせるために彼らの心を開いて            24:46 言われた、「救世主は苦しみをうけて、三日目に死人の中から復活する。

C−4)塚本訳 ヨハ 5:37 (子に関する証明のいろいろ)                                                 5:37 その上、わたしを遣わされた父上御自身が、わたしのことを(聖書で)証明してくれるからである。(ところがあんなにはっきり書いてあるのに、)あなた達はいまだかって父上の声を聞いたことも、姿を見たこともなく、

C−5)塚本訳 Tコリ15:3-4 (キリストの復活は福音の根拠)                            15:3 まえにわたしが(福音の)一番大切な事としてあなた達に伝えたのは、わたし自身(エルサレム集会から)受けついだのであるが、キリストが聖書(の預言)どおりにわたし達の罪のために死なれたこと、                          15:4 葬られたこと、聖書どおりに三日目に復活しておられること、

D(神の力)(どこででも、)・・・無教会主義の伝道の姿勢

D−1)塚本訳 ヨハ 1:12-13 (はしがき――言葉(ロゴス))                            1:12 しかし受け入れた人々、すなわち、その名を(神の子であることを)信じた人には一人のこらず、神の子となる資格をお授けになった。                 1:13 この人たちは、人間の血や、肉の欲望や、男の欲望によらず、神(の力)によって生まれたのである。

D−2)塚本訳 マタ 16:16-17 (ペテロの告白)                           16:16 シモン・ペテロが答えて言った、「あなたは救世主、生ける神の子であります!」16:17 するとイエスは(喜んで)ペテロに答えられた、「バルヨナ・シモン、あなたは幸いだ。これをあなたに示したのは血肉([人間]の知恵)でなく、わたしの天の父上だから。

D−3)塚本訳 ロマ 4:18 (律法の行いによらない)                              4:18 (まことに)アブラハムは(神の力を確信して、)望み得ないことを望んで信じたので、『あなたの子孫はあのように、(空の星のように多く)なるであろう』と言われた言葉のとおり、『多くの国の人の父』になったのである。

D−4)塚本訳 ピリ 1:14(わたしの縄目が福音に役立ったことを喜ぶ)                               1:14 (そのため)主に在る多数の兄弟達は私の縄目に(神の力が働いていることを深く)信頼して、一層大胆に、恐るることなく神の言を語るようになった。

D−5)塚本訳 ヨハ 4:21 (サマリヤの女との問答)                              4:21 イエスが言われる、「女の人、わたし(の言葉)を信じなさい。(間もなく)あなた達が、この山でもエルサレムでもなく(どこででも、)父上を礼拝する時が来る。

E(裁きの日)(いつかは恥じて)(かの日)・・・社会問題に対する姿勢

E−1)塚本訳 ロマ 12:19-20 {愛をもて}                           12:19 愛する者たちよ、自分で仕返しをするな、(裁きの日の神の)怒りにまかせよ。こう書いてあるではないか、「主は言われる、『仕返しはわたしのもの、』わたしが『報いをする』と。」                                 12:20 むしろ、『あなたの敵が飢えているなら、食べさせてやれ。渇いているなら、飲ませてやれ。こうするのはその頭に炭火を積むことであるから、(いつかは恥じて悔改める。)

E−2)塚本訳 マタ 5:5-6(幸いな人たち)                               5:5 ああ幸いだ、『(踏みつけられて)じっと我慢している人たち、』、『(約束の)地(なる御国)を相続する』のはその人たちだから。                     5:6 ああ幸いだ、(神の)義に飢え渇いている人たち、(かの日に)満足させられるのはその人たちだから。

F(復活のキリストを見た)(釘の跡)(この耳で)・・・有体的復活の信仰

F−1塚本訳 使  23:6(最高法院の審問)                               23:6 そのときパウロは(役人の)一派はサドカイ人、一派はパリサイ人であるのを見て取り、法院で叫んだ、「兄弟の方々、わたしはパリサイ人で、しかもパリサイ人の子です。いま死人の復活の希望のために裁判されているのです。(わたしは復活のキリストを見たと言いますから。)

F−2)塚本訳 ヨハ 20:27 (トマスの告白)                             20:27 それから(すぐ)トマスに言われる、「指をここに持ってきて、わたしの手(の釘の跡)をよく見てごらん。手を持ってきて、わたしの脇腹に差し込んでみなさい。不信仰をやめて、信ずる者らしくしなさい。」

F−3)塚本訳 Tヨハ1:1 (はしがき――手紙を書く目的)                               1:1 (世の)始めから(すでに)おられたもの、(それは)わたし達が(この耳で)聞いたもの、自分の目で見たもの、直観しまた自分の手でさわったもの、(すなわち)命の言葉について、──

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