さかなのえ ΙΧΘΥΣ

聖書で聖書を読む 

イエスの成長・過越まいり                 (ルカ2:40−52)

2016年7月3日 東京聖書読者会 高橋照男

塚本訳 ルカ 2:40

2:40 幼児は大きくなり強くなって、知恵満ち、神の恵みが彼をはなれなかった。

●「過越まいり」の出来事は、律法と神殿宗教が終了し、新時代が開ける暗示。イエスの霊の成長は分離の苦と共に始まった。歴史家ルカの編集の心に触れる。

 

40−@)塚本訳 マタ 4:1
4:1 間もなくイエスは悪魔の誘惑にあうため、御霊につれられて荒野に上られた。

40−A)塚本訳 マタ 4:10-11
4:10 そこでイエスは言われる、「引っ込んでいろ、悪魔(サタン)!(聖書に)『あなたの神なる主をおがめ、』『主に』のみ『奉仕せよ』と書いてあるのだ。」

40−B)塚本訳 マタ 6:13
6:13 わたしたちを試みにあわせないで、悪から守ってください。

40−C)塚本訳 マタ 16:22-23
16:22 するとペテロはイエスをわきへ引っ張っていって、「主よ、とんでもない。そんなことは絶対にいけません!」と言って忠告を始めた。(救世主が死ぬなどとは考えられなかったのである。)
16:23 イエスは振り返って、ペテロに言われた、「引っ込んでろ、悪魔(サタン)、この邪魔者!お前は神様のことを考えずに、人間のことを考えている!」

40−D)塚本訳 ルカ 22:42-44
22:42 言われた、「お父様、お心ならば、どうかこの杯をわたしに差さないでください。しかし、わたしの願いでなく、お心が成りますように!」
22:43 そのとき天から一人の天使がイエスに現われて、力づけた。
22:44 イエスはもだえながら、死に物狂いに祈られた。汗が血のしたたるように(ポタポタ)地上に落ちた。

 

40−E)塚本訳 マコ 15:34

15:34 三時に、イエスは大声を出して『エロイ エロイ ラマ サバクタニ!』と叫ばれた。訳すると、『わたしの神様、わたしの神様、なぜ、わたしをお見捨てになりましたか!』である。

 

40-F)口語訳 詩  27:9-10

27:9 み顔をわたしに隠さないでください。怒ってあなたのしもべを退けないでください。あなたはわたしの助けです。わが救の神よ、わたしを追い出し、わたしを捨てないでください。

27:10 たとい父母がわたしを捨てても、主がわたしを迎えられるでしょう。

 

塚本訳 ルカ 2:41

2:41 さてイエスの両親は、過越の祭には毎年エルサレムに行った。

●イエスの信仰は親の感化でユダヤ教、律法への従順の下に育った。

41-@)塚本訳 ルカ 2:21-22

2:21 八日過ぎて割礼の日が来ると、人々は、胎内に宿る前に天使からつけられたイエスという名を、幼児につけた。

2:22 両親はモーセ律法による彼らの『清めの日(四十日)が過ぎる』と、幼児をつれてエルサレムに上った。

 

42-A)訳 ルカ 2:39

2:39 両親は主の律法のさだめをすべて果すと、ガリラヤの自分の町ナザレに帰った。

 

塚本訳 ルカ 2:42

2:42 イエスが十二歳になった時、両親は(その)祭の習わしに従って、(彼を連れて都へ)上った。

●イエスの両親はユダヤ教の慣習を遵守。子たるイエスがそれに従順であったことはユダヤ教の「律法の下」に生きたことである。

 

42-@)塚本訳 ガラ 4:4

4:4 しかし(定められた)時が満ちると、神はその御子を女から生まれさせ、律法の下に置いて、(この世に)お遣わしになった

 

塚本訳 ルカ 2:43

2:43 (祭の)日が終って帰る時、イエス少年はエルサレムにのこったのに、両親はそれを知らなかった。

●親への反抗はユダヤ教の律法主義からの離脱の暗示。ルカの文学的編集躍如。

 

48-@)塚本訳 マコ 3:31-33

3:31 そこにイエスの母と兄弟たちが来て、外に立っていてイエスを呼ばせた。

3:32 大勢の人がイエスのまわりに坐っていたが、彼に言う、「それ、母上と兄弟姉妹方が、外であなたをたずねておられます。」

3:33 イエスは「わたしの母、兄弟とはだれのことだ」と答えて、

 

塚本訳 ルカ 2:44

2:44 道連れの中にいるとばかり思って、一日路を行ったのち、(はじめてそれに気づき、)親類、知人の中を捜したけれども、

●少年イエスの親への反抗は律法宗教からの分離で新約の幕開けの暗示。

 

44-@)塚本訳 ヨハ 9:22-23

9:22 両親がこう言ったのは、ユダヤ人を恐れたのである。ユダヤ人は、イエスを公然救世主と認める者があれば、礼拝堂追放にすることを、すでに決議していたからである。

9:23 両親が、「もう大人だから、あれに聞いてください」と言ったのは、このためである。

 

塚本訳 ルカ 2:45

2:45 見つからないので、捜しながらエルサレムに引き返した。

●後にユダヤ教徒はキリストを信じる者たちをユダヤ教に連れ戻そうと探して迫害するようになった。親子別れの涙。

 

45-@)塚本訳 マコ 3: 21

3:21 身内の者たちが(イエスの様子を)聞いて(ナザレからカペナウムへ)取りおさえに出てきた。「気が狂っている」と思ったのである。

 

45-A)塚本訳 使  26:11

26:11 わたしはまたあらゆる礼拝堂でしばしば罰をもって彼らを強要して、(イエスを)冒涜させようとしました。そして彼にむかい猛り狂って、(ユダヤの)国の外の町々にまで行って、迫害をつづけたのであります。

 

塚本訳 ルカ 2:46

2:46 そして(都を出て)三日の後に、イエスが宮で教師たちの真中に坐って、話を聞いたり尋ねたりしているのを見つけた。

●イエスの受難予告の源流はここにある。

 

46-@)塚本訳 マタ 16:21

16:21 この時から、イエスは自分が(神の計画どおり)エルサレムに行って、長老、大祭司連、聖書学者たちから多くの苦しみをうけ、殺され、そして三日目に復活せねばならないことを弟子たちに示し始められた。

 

塚本訳 ルカ 2:47

2:47 彼の話を聞いている人々は皆、その賢いうけこたえぶりに舌をまいていた。

●イエスの話には不思議な権威があったことの暗示。

 

47-@)塚本訳 ルカ 4:32

4:32 人々はその教えに感心してしまった。話に権威があったからである。

 

47-A)塚本訳 ヨハ 7:15-16

7:15 ユダヤ人は驚いて言った、「この人は学校に行ったこともないのに、どうして聖書を知っているのだろうか。」

7:16 イエスは答えて言われた、「わたしの教えはわたしの教えではない。わたしを遣わされた方の教えである

 

塚本訳 ルカ 2:48

2:48 両親はこれを見て驚き、母が言った、「坊や、どうしてこんなことをしましたか。ごらん、お父さまもわたしも(こんなに)心配して、あなたをさがしているではありませんか。」

●子供の心が親から離れていった。   ユダヤ教徒は新興キリスト教徒の分離を心配した。新時代幕開けの暗示。

 

48-@)塚本訳 ルカ 2:34-35

2:34 シメオンは両親を祝福し、母マリヤに言った、「驚きなさるなよ、この幼児はイスラエルの多くの人を、(この方に対する態度によって)倒されたり立たせたりする、また、一つの目印となって(この世の烈しい)反対をうける、使命を負わされているのです。──

2:35 (母人よ、)あなたも剣で胸を刺しつらぬかれ(る苦しみをせ)ねばなりますまい。──これは多くの人の心の(隠れた)考えを外に出させるためなのです。

 

塚本訳 ルカ 2:49

2:49 彼らに答えられた、「なぜおさがしになったのです。わたしが(天の)お父さまの家に居るのは当り前でしょう。御存知なかったのですか。」

●神殿宗教からの離脱と真の礼拝の姿が到来する時代の暗示。

 

49-@)塚本訳 ルカ 19:46

19:46 こう言われた、「『わたしの家は祈りの家であらねばならぬ』と(聖書に)書いてあるのに、あなた達はそれを『強盗の巣』にしてしまった。」


49-
A)塚本訳 ヨハ 2:19

2:19 イエスは答えられた、「このお宮をこわせ、三日で造ってみせるから。2:20 ユダヤ人が言った、「このお宮を建てるには四十六年もかかったのに、あなたは三日で造るというのか。」

2:21 しかしイエスは自分の体のことを宮と言われたのであった。

2:22 だから死人の中から復活された時、弟子たちはこう言われたことを思い出して、聖書とイエスの言われた言葉と(が本当であること)を信じた。


49-
B)塚本訳 ヨハ 4:21-24

4:21 イエスが言われる、「女の人、わたし(の言葉)を信じなさい。(間もなく)あなた達が、この山でもエルサレムでもなく(どこででも、)父上を礼拝する時が来る。422 略)

4:23 しかし(ユダヤ人もサマリヤ人もなく、)本当の礼拝者が霊と真理とをもって父上を礼拝する時が来る。いや、今もうきている。父上もこんな礼拝者を求めておられるのである。

4:24 神は霊である。だから礼拝者も霊と真理とをもって礼拝せねばならない。

 

塚本訳 ルカ 2:50

2:50 両親にはこう言われた言葉(の意味)がわからなかった。

●律法主義と神殿主義に忠実な両親にはイエスの言動がわからなかった痛み。

 

50−@)塚本訳 マタ 13:13-14

13:13 だから、あの人たちには譬をもって話すのである。『見ても見えず、聞いても聞えず、また悟らない』からだ。

13:14 こうしてイザヤの預言はあの人たちに成就した。──『あなた達は聞いても聞いても、決して悟るまい、見ても見ても、決してわかるまい

 

塚本訳 ルカ 2:51

2:51 それからイエスは一しょに(エルサレムから)下ってナザレに帰り、両親につかえられた。母(マリヤ)はこのことを皆胸に秘めていた。

●この時のイエスは「親不孝の親孝行」であった。これから起こるイエスの「孤独旅」はじまりであったとルカは見た。母(マリヤ)はイエスのこの時の不思議な言動を胸に秘め、イエスの復活後にわが子を礼拝するに至った母マリヤは偉かった。

 

51-@)口語訳 出  20:12

20:12 あなたの父と母を敬え。これは、あなたの神、主が賜わる地で、あなたが長く生きるためである。


51-
A)塚本訳 ヨハ 19:26-27

19:26 するとイエスは母上と、そのそばに立っている自分の愛する弟子とを見て、母上に言われる、「女の方、これがあなたの息子さんです。」

19:27 それからその弟子に言われる、「これがあなたのおかあさんだ。」この時以来、その弟子はイエスの母を自分の家に引き取った。


51-
B)塚本訳 使  1:14

1:14 この人々は皆、女たち、とりわけイエスの母マリヤや、イエスの兄弟たちと、心を一つにして祈りに余念がなかった。

 

塚本訳 ルカ 2:52

2:52 イエスは知恵も身の丈も、『また神と人との寵愛も、いやましに増していった。』

●イエスは一人のユダヤ人として神と人とに愛されて育った。しかし神に愛されたが故に肉親から別れざるをえなくなり、十字架の死の御用を果たした。

 

52-@)塚本訳 マコ 10:20-21

10:20 その人が言った、「先生、それならみんな若い時から守っております。」

10:21 イエスは彼をじっと見て、かわいく思って言われた、「(よく守った。だが)一つ足りない。家に帰って、持っているものをみな売って、(その金を)貧乏な人に施しなさい。そうすれば天に宝を積むことができる。それから来て、わたしの弟子になりなさい。


52-A)塚本訳 ヘブ 12:9-10

12:9 かつまた、わたし達は訓練をする者として肉の父を尊敬した(とするならば)、まして霊魂の父に服従して、(永遠に)生きないことがあるだろうか。

12:10 というのは、肉の父は(ほんの)少しの日数(だけ)、自分の考えに従って訓練したのに反して、神はわたし達を益するため、わたし達をその聖さにあずからせるために、訓練されるのであるから。


52-
B) ロマ 10:4

10:4 (では律法を守ることが、なぜいけないか。律法はキリストによって目的を達し、もうなくなってしまったからである。)すなわち、キリストは(御自分を)信ずる者が一人のこらず義とされるために、律法の終りとなられたのである。


52-C)塚本訳 ヨハ 19:28-30

19:28 こうしたあと、イエスは(自分のなすべきことが)何もかもすんだことを知って、(最後に)聖書の言葉を成就させるために、「〃渇く〃」と言われた。

19:29 酸っぱい葡萄酒の一ぱい入った器がそこに置いてあった。人々はその[酸っぱい葡萄酒を]一ぱい含ませた海綿をヒソプの(茎の先)につけて、イエス(の口許)に差し出した。

19:30 イエスは酸っぱい葡萄酒を受けると、「(すべて)すんだ」と言って、首を垂れて霊を(神に)渡された。

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