181020                        ΙΧΘΥΣ イクスス()    

イエ(イエス)、クリス(キリスト)、セ()、ヒュ()、ソ(救い主)

聖書で聖書を読む 

 

トマス・ア・ケンピス著「キリストにならいて」

・・・新しき中世・・・

 

2018年 10月 21日 東京聖書読者会 高橋照男

 

@ 著者、著作の背景、著作目的、年代、影響

<本書の骨子>

A 富を捨てよ

B この世の楽しみを捨てよ

C 聖書を読むべきこと

D この世の生活そのものが本当の礼拝

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@ 著者、年代、著作の背景、目的、影響

著者は諸説あるが古くからトマス・ア・ケンピス(1380-1471)とされてきた(岩波文庫)。最近ではトマスが所属していたアウグスチヌス派修道院のヘーラルト・ホロート院長による中世オランダ語が原本との説もある(教文館版)。この場合、トマスはラテン語への翻訳者。いずれにしても著作の背景は、禁欲、清貧、祈り、労働という修道生活。著作目的は修道士たちの修練のため。著作年代は1441年でトマス61歳の時。本書は、ヨーロッパ中世の精神的基盤になり、聖書の次に多く読まれるようになった。我が国ではキリシタン時代から現代まで17種類の翻訳がある。修道会の数は当時欧州全体でシトー会だけでも343か所、日本では現在129か所。本書の影響は、政治、経済、宗教、芸術など広範囲に及ぶ。本書の根底は聖書。



A 富を捨てよ

A−1)塚本訳 ルカ 12:19-21 (本書第1部第23章の聖書引照)

12:19 それからわたしの魂に言おう。──おい魂、お前には長年分の財産が沢山しまってある。(もう大丈夫。)さあ休んで、食べて、飲んで、楽しみなさい、と。』

12:20 しかし神はその人に、『愚か者、今夜お前の魂は取り上げられるのだ。するとお前が準備したものは、だれのものになるのか』と言われた。

12:21 自分のために(地上に)宝を積んで、神のところで富んでいない者はみな、このとおりである。

 

A−2)塚本訳 マタ 6:20

6:20 衣魚も虫も食わない、また泥坊が忍び込むことも盗むこともない天に、宝を積んでおきなさい。(そうでないと、心が天に向かないであろう。)

A−3)塚本訳 ルカ 16:13

16:13 しかし(この世のことはみな準備のためであるから、それに心を奪われてはならない。)いかなる僕も(同時に)二人の主人に仕えることは出来ない。こちらを憎んであちらを愛するか、こちらに親しんであちらを疎んじるか、どちらかである。あなた達は神と富とに仕えることは出来ない。」

 

A−4)塚本訳 マコ 10:21

10:21 イエスは彼をじっと見て、かわいく思って言われた、「(よく守った。だが)一つ足りない。家に帰って、持っているものをみな売って、(その金を)貧乏な人に施しなさい。そうすれば天に宝を積むことができる。それから来て、わたしの弟子になりなさい。」


A−5)塚本訳 ルカ 12:15

12:15 人々に言われた、「一切の貪欲に注意し、用心せよ。いかに物があり余っていても、財産は命の足しにはならないのだから。」



B この世の楽しみ、(地位名声、誇り、遊び、結婚、命)を捨てよ

 

B−1)塚本訳 ヨハ 5:44 (本書第2部第10章の聖書引照)

5:44 互に(この世の)名誉をやり取りして、ただひとりの神からの名誉を求めないあなた達が、どうして(わたしに対する)信仰をもつことが出来ようか。

 

B−2)塚本訳 マタ 4:8-10

4:8 悪魔はまたイエスを非常に高い山に連れてゆき、世界中の国々と、栄華とを見せて

4:9 言った、「あれを皆あげよう、もしひれ伏してわたしをおがむなら。

4:10 そこでイエスは言われる、「引っ込んでいろ、悪魔!(聖書に)       “あなたの神なる主をおがめ、”“主に”のみ“奉仕せよ”と書いてあるのだ。

 

B−3)塚本訳 Tコリ1:28-29

1:28 また世の身分の低いもの、軽蔑されているもの、(いや、あっても)無い(ように思われている)ものを神はお選びになった、ある(と思われている)ものを無にするためである。

1:29 こうして、だれ一人神の前で誇ることのないようにされたのである。

 

B−4)塚本訳 マコ 10:28-30

10:28 ペテロがイエスに、「でも、わたし達は(あの金持とちがいます。)この通り何もかもすてて、あなたの弟子になりました」と言い出した。

10:29 イエスは言われた、「アーメン、あなた達に言う、わたしのため、また福音のために、家や兄弟や姉妹や母や父や子や畑をすてた者で、

10:30 今、この世で──迫害のうちにおいてではあるが──百倍の家と兄弟と姉妹と母と子と畑とを、また来るべき世では永遠の命を受けない者は一人もない。


B−5)塚本訳 ルカ 22:27

22:27 食卓につく者と給仕をする者と、どちらがえらいか。食卓につく者ではないのか。でもわたしはあなた達の間で、あたかも給仕をする者のようにしている。


B−6)塚本訳 ヨハ 12:24

12:24 アーメン、アーメン、わたしは言う、一粒の麦は、地に落ちて死なねば、いつまでもただの一粒である。しかし死ねば、多くの実を結ぶ。(だからわたしは命をすてる。)


B−7)塚本訳 マコ 8:31-32

8:31 (この時から、)イエスは、「人の子(わたし)は多くの苦しみをうけ、長老、大祭司連、聖書学者たちから排斥され、殺され、そして三日の後に復活せねばならない。(神はこうお決めになっている)」と弟子たちに教え始められた。

8:32 しかもおおぴっらにこのことを話された。するとペテロはイエスをわきへ引っ張っていって、忠告を始めた。(救世主が死ぬなどとは考えられなかったのである。)


B−8)塚本訳 ヤコ 4:4

4:4 姦婦達、世に対する愛情は神への敵対であることを知らないのか。だから誰でも世の友になろうと思う者は自分を神の敵とするのである。


B−9)塚本訳 ルカ 12:4-5

12:4 あなた達、わたしの友人に言う、体を殺しても、そのあと、それ以上には何もできない者を恐れるな。

12:5 恐るべき者はだれか、おしえてあげよう。殺したあとで、地獄に投げ込む権力を持っておられるお方を恐れよ。ほんとうに、わたしは言う、そのお方(だけ)を恐れよ。



C 聖書を読むべきこと


C−1)塚本訳 ロマ 15:4 (本書第1部第5章の聖書引照)

15:4 なぜなら、(聖書に)前に書かれたほどのことはみな、(後の時代の)わたし達の教訓のために書かれたもので、わたし達が聖書のあたえる忍耐と慰めとをもって、希望を持ちつづけるためである。

 

C−2)塚本訳 ルカ 16:28-29

16:28 わたしに五人の兄弟があります。彼らまでがこの苦しみの場所に来ないように、よく言って聞かせてください。』

16:29 しかしアブラハムは言う、『(その必要はない。)彼らにはモーセ(律法)と預言書と[聖書]がある。その教えに従えばよろしい。』


C−3)塚本訳 マタ 5:17-18

5:17 わたしが律法や預言書[聖書]を廃止するために来たと思ってはならない。廃止するどころか、成就するために来たのである。

5:18 アーメン、わたしは言う、天地が消え失せても、(そこに書かれている)すべてのことが実現するまでは、律法(と預言書)から、その一点一画といえども決して消え失せない。


C−4)塚本訳 マタ 24:35

24:35 天地は消え失せる、しかし(いま言った)わたしの言葉は決して消え失せない。


C−5)塚本訳 ルカ 4:16-21

4:16 それからお育ちになったナザレに行って、安息の日にいつものとおり礼拝堂に入り、(聖書を)朗読しようとして立たれた。

 

C−6)塚本訳 ヨハ 6:63

6:63 霊が命を与える。肉はなんの役にも立たない。いまわたしがあなた達に話した言葉は、霊である。だから、命である。


C−7)塚本訳 マタ 7:28-29

7:28 イエスがこれらの話を終えられた時、一しょに聞いていた群衆はその教えに感心してしまった。

7:29 自分たちの聖書学者のようでなく、権威を持つ者のように教えられたからである。

 

C−8)塚本訳 Tテモ4:13

4:13 私が行くまで(集会で聖書を)朗読すること、勧めをすること、教えることに心を傾けよ。


C−9)塚本訳 Uテモ3:15-17

3:15 また(既に)子供の時から聖書を習ったことを知っているではないか。この聖書はキリスト・イエスの信仰による救いへの知恵を君に与えることが出来る。

3:16 聖句は悉く霊感されたもので、教訓に、訓戒に、矯正に、義の教育に益があり、

3:17 かくて神の人が完成し、あらゆる善い仕事をする準備が出来る



D この世の生活そのものが本当の礼拝

 

D−1)塚本訳 ヨハ 8:12(本書第1部第1章の聖書引照)

8:12 (同じ大祭の日に、)イエスはまた人々に語られた、「わたしが世の光である。わたしに従う者は、決して暗やみを歩かない。そればかりか、命への光を持つことができる。


D−2)塚本訳 ヨハ 4:23-24

4:23 しかし(ユダヤ人もサマリヤ人もなく、)本当の礼拝者が霊と真理とをもって父上を礼拝する時が来る。いや、今もうきている。父上もこんな礼拝者を求めておられるのである。


D−3)塚本訳 ヨハ 4:25-26

4:25 女が言う、「キリストと言われる救世主が来ることは知っています。救世主が来れば、わたし達に何もかも知らせてくださるでしょう。」

4:26 イエスは言われる、「あなたと話しているわたしが、それだ。」


D−4)塚本訳 ヨハ 1:12-13

1:12 しかし受け入れた人々、すなわち、その名を(神の子であることを)信じた人には一人のこらず、神の子となる資格をお授けになった。

1:13 この人たちは、人間の血や、肉の欲望や、男の欲望によらず、神(の力)によって生まれたのである


B−5)塚本訳 ルカ 20:34-36

20:34 イエスは言われた、「この世の人はめとり嫁ぐけれども、

20:35 あの世にはいる資格を与えられて、死人の中から復活する者は、めとることもなく嫁ぐこともない。

20:36 復活によって生まれる彼らは、天使と同じであり、神の子であるので、もはや死ぬことが出来ない、(従って子を産む必要がない)からである。


D−6)塚本訳 マタ 5:14

5:14 あなた達は世の光である。山の上にある町は隠れていることは出来ない。


D−7)塚本訳 エペ 5:8

5:8 君達はかつては闇であったが、今は主に在って光である。光の子らしく歩け──


D−8)塚本訳 ピリ 2:15

2:15 これは君達が非難すべき所でなく、純真であって、『曲ったねじくれた(この)時代』の真中にあって『瑕なき神の子』とならんためである。(まことに)君達はこの時代にあって、生命の言を堅く守りながら、この(暗い)世に星のように輝いているのである。


D−9)塚本訳 ヨハ 15:1-3

15:2 わたしについている蔓で実を結ばないものは、父上が皆それを切り取ってしまわれる。また実を結ぶものは、より多く実を結ぶように、皆それを奇麗に刈り込まれる。

15:3 あなた達はわたしが語った言葉(を受け入れること)によって(汚れを除かれ)、すでに奇麗になっている


D−10)塚本訳 マタ 16:17-18

16:17 するとイエスは(喜んで)ペテロに答えられた、「バルヨナ・シモン、あなたは幸いだ。これをあなたに示したのは血肉([人間]の知恵)でなく、わたしの天の父上だから。

16:18 それでわたしもあなたに言おう。──あなたはペテロ[岩]、わたしはこの岩の上に、わたしの集会を建てる。黄泉の門[死の力]もこれに勝つことはできない。

16:19 わたしはあなたに天の国の鍵をあずける。(だから)あなたが地上で結ぶことは(そのまま)天でも結ばれ、地上で解くことは(そのまま)天でも解かれるであろう。

 

D−11)塚本訳 マタ 18:18-20

18:18 アーメン、わたしは言う、あなた達が地上で結ぶことはみな天でも結ばれ、地上で解くことはみな天でも解かれるであろう。

18:19 なお、アーメン、わたしは言う、何事によらず、もしあなた達のうちの二人が心を一つにして地上で祈るならば、わたしの天の父上は(きっとその願いを)かなえてくださるだろう。

18:20 二人、三人、わたしの名によって集まっている所には、わたしがいつもその真中にいるのだから。」


D−12)塚本訳 Tペテ2:5

2:5 そして君達自身も(主と同じく)(い)きた石として建てられて、霊の家となれ。これは君達が聖い祭司として、イエス・キリストによって神の御意に適う霊の供物(そなえもの)を献げるためである。


D−13)塚本訳 ヘブ 3:6

3:6 キリストは“神の家”の御子として忠実であった。そして(キリストを信ずる)わたし達は、そのキリストの家(の者)である。もしわたし達が(大胆な)信頼と、希望の誇りとを最後まで堅く守っているならば。


D−14)塚本訳 Uコリ2:15

2:15 というのは、わたし達は救われる者の間でも、滅びゆく者の間でも、神にささげられるためのキリストのよい薫である。


D−15)塚本訳 Uコリ4:7

4:7 しかしこの宝が、(貧弱な)土の器の中にある。それはその素晴らしい力が神のものであって、わたし達(土の器)から出るのではないことがわかるためである。

D−16)塚本訳 Uコリ4:11-12

4:11 言い換えれば、わたし達が生きながらイエスの故に絶えず死の手にゆだねられているのは、イエスの(復活の)命もわたし達の死ぬべき肉体に(すでにこの世で)現れるためである。

4:12 従って死はわたし達に働くけれども、(そのことによってわたし達に溢れる)命があなた達に働くことになるのである。

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