200708-3

塚本虎二イエス伝研究 第185講 二振の剣

――弟子たちの戦闘準備――

    ルカ22章35−38節

 塚本虎二解説文(●印)と聖書引照

         2020年7月12日  高橋トミ子

 

塚本訳 ルカ 22:35-38

22:35 それから彼らに言われた、「(前に)財布も旅行袋も靴も持たせずに、あなた達を(伝道に)やった時、何か足りない物があったか。」彼らが答えた、「いえ、何も。」

22:36 彼らに言われた、「しかし今は(もうそれではいけない。)財布を持っている者は持ってゆけ。旅行袋も同様。剣を持たない者は、(もし金がなかったら、)上着を売ってでも買いなさい。

22:37 わたしは言う、『彼は咎人の一人に数えられた』と(聖書に)書いてあること、をわたしは成就せねばならないのだから。そしてわたしの務は(いよいよこれで)果てるのだ。(あなた達も戦いの準備をするがよい。)」

22:38 彼らが言った、「主よ、剣ならばここに二振あります。」イエスが(笑いながら)言われた、「それで沢山々々。」

 

2235 

●  伝道旅行に出発する際、財布も旅行袋も持たず靴も穿(は)かなかったのは、旅行先の家々で飲食し給与を受け取ると信ぜられたからであった。

 

塚本訳 ルカ 10:7

10:7 (どんな家でも一度入ったら、その土地を立ってゆくまでは)同じ家に泊まっていて、家の人が出すものを(遠慮なく)飲み食いせよ。働く者が報酬をいただくのは当然だから。家から家へと移ってはならない。

 

2236 

● 「しかし今は」を強く読まねばならない。・・・金銭食糧品等を身につけ、また剣を帯びて自衛の手段を講ぜよと命じらるのである。

 

塚本訳 マタ 10:16

10:16 いまわたしがあなた達を送り出すのは、羊を狼の中に入れるようなものだ。だから、蛇のように賢く、鳩のように純真であれ。

 

22:37 

●すなわち聖書の言(ことば)が成就して、わたしが死なねばぬ時がいよいよ到来したから、武装せよというのである。


口語訳 イザ 53:12

53:12 それゆえ、わたしは彼に大いなる者と共に/物を分かち取らせる。彼は強い者と共に獲物を分かち取る。これは彼が死にいたるまで、自分の魂をそそぎだし、とがある者と共に数えられたからである。しかも彼は多くの人の罪を負い、とがある者のためにとりなしをした。

 

22:38 

●イエスは弟子たちの無理解に愛想をつかし、「もうよし」と言って話を打ち切られたのであるという。

 

口語訳 申  3:26

3:26 しかし主はあなたがたのゆえにわたしを怒り、わたしに聞かれなかった。そして主はわたしに言われた、『おまえはもはや足りている。この事については、重ねてわたしに言ってはならない。

 

口語訳 Uサム24:16

24:16 天の使が手をエルサレムに伸べてこれを滅ぼそうとしたが、主はこの害悪を悔い、民を滅ぼしている天の使に言われた、「もはや、じゅうぶんである。今あなたの手をとどめるがよい」。その時、主の使はエブスびとアラウナの打ち場のかたわらにいた。

 

 

●結論 

 

●剣を買えと言われたのは、実際剣を買わせてローマ軍に抵抗するためでないのはもちろん、刺客に備えるためでもない。無抵抗主義はイエスの福音の根本義であり、またその夜弟子が大祭司の僕の耳を切り落とした時に言われた彼の言からも明瞭である。

 

塚本訳 ルカ 22:51

22:51 イエスは、「もうそれでよし」と言って、耳にさわってお直しになった。

 

塚本訳 マタ 26:52-54

26:52 その時イエスが言われる、「剣を鞘におさめよ。剣による者は皆、剣によって滅びる。

26:53 それとも、父上にお願いして十二軍団以上の天使を今すぐ送っていただくことが、わたしに出来ないと思うのか。

26:54 しかしそれでは、かならずこうなる、とある聖書の言葉は、どうして成就するのか。」

 

●彼は一つの絵言葉をもって剣を買えと言われたのである。

 

塚本訳 マタ 10:34

10:34 地上に平和をもたらすためにわたしが来た、などと考えてはならない。平和ではない、剣を、(戦いを)もたらすために来たのである。

 

●彼は弟子たちが彼の心を悟らずして二振りの剣を出した時に、このいずれともつかないような、しかし彼らの誤解と闘志をいじらしくも嬉しくも思うような複雑な気持ちをもって、「二振りもあれば充分だ。それでよし、それでよし」と言って話を打ち切られたように見える。


塚本訳 マコ 14:47-49

14:47 (イエスの)そばに立っていたひとりの人が剣を抜いて大祭司の下男に切りつけ、片耳をそぎ落してしまった。

14:48 イエスは人々に言われた、「強盗にでも向かうように、剣や棍棒を持ってつかまえに来たのか。

14:49 わたしは毎日宮にいてあなた達の所で教えていたのに、捕えずにおいて、(どうして今、こんな真夜中に来たのか。)しかしこれは、(救世主は罪人のようにあつかわれるという)聖書の言葉が成就するためである。」


塚本訳 マタ 26:47

26:47 イエスの言葉がまだ終らぬうちに、見よ、十二人の一人のユダが来た。大祭司連、国の長老から派遣された大勢の人の群が、剣や棍棒を持ってついて来た。


塚本訳 ルカ 22:47

22:47 イエスの言葉がまだ終らぬうちに、そこに一群の人があらわれた。十二人の一人である、前に言ったユダが先頭に立ち、イエスに接吻しようとして近寄ってきた。

 

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