200920-4  

第47回塚本虎二先生記念会(20201025日)感話  高橋照男

 

知人M氏の母親のUさん(1962年没)は若くして未亡人になり、あろうことか結核になった。一人息子M氏の行く末を案じたUさんは親子無理心中を図ろうとしたが塚本虎二先生に止められ、幼いM氏はM家に引き取られた。Uさんはその一人息子と別れる時、淋しさから「狂える如くに終末再臨を祈った」という。M氏は長じて東京農工大学で博士号を取られ、現在は栃木県で小さな無教会家庭集会を開いておられる。塚本先生はUさんが亡くなられた時、3度泣かれた(1962年6月「聖書知識」385号12ページ)。その追悼式でM氏は「母は自分が母であることを捨てたのに、私に対しては最後まで母であり続けようとした」と挨拶した。皆が泣いた。Uさんの詠んだ歌に次のようなものがある。クリスチャンの母親の歌である。

「まこと(真理)知る 人となりませ 母にして母にあらざる母の祈りを」

昨年の「塚本虎二先生記念会」に出席されたM氏とは、新宿駅まで語り合いながら一緒に帰った。彼はキリストの薫りがした(Uコリ215)。塚本先生が言われる「母の祈りは聴かれます」には重みがある。家族の救いの祈りは来世で聴かれる。手の届かないところにいる人に対する「隠れた祈り」は聴かれる(マタイ66)。

 

 

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