ΙΧΘΥΣ イクスス(魚)
イエスス(イエス)クリストス(キリスト)、セオス(神)、ヒュオス(子)、ソテル(救い主)
聖書で聖書を読む
コヘレトの言葉
・・・人生肯定の書・・・
●キリスト者の皆様お早うございます。来週、某夫人の家に行って「コヘレトの言葉」を一緒に読むことになった。聖書は生きる悩みがバネになって読むようになるものだ。過日妻から「某氏が『神様なんていないんだ』と言っていた」ことを聞いた。神なき世は「コヘレトの言葉」の「人生は空」であるという思想に共鳴する。クリスチャンと言えども大苦難に遭遇するとそういう気持ちにもなるものだ。人間は誰でも幸福を求める。「コヘレトの言葉」はその幸福への真面目な探求である。そしてそれは「この世のもの」では得られないことが実験結果として書かれている。新約聖書は、真の幸福は神の子キリストによる「十字架の救い」によって神との交わりを持つことであると言う。「コヘレトの言葉」はそれに至るための胎動で、人生肯定の書ある。そこに幸福追求の模索の跡を見る。小見出しはフランシスコ会訳2013。「コヘレトの言葉」の本文は口語訳、新改訳、新共同訳のうちでわかりやすいものを選択して掲げる
●本書の主題
新共同 伝 1:2-3
1:2 コヘレトは言う。なんという空しさ/なんという空しさ、すべては空しい。
1:3 太陽の下、人は労苦するが/すべての労苦も何になろう。
●天の下に新しいものはない
口語訳 伝 1:8-9
1:8 すべての事は人をうみ疲れさせる、人はこれを言いつくすことができない。目は見ることに飽きることがなく、耳は聞くことに満足することがない。
1:9 先にあったことは、また後にもある、先になされた事は、また後にもなされる。日の下には新しいものはない。
●知恵の空しさ
新共同 伝 1:17-18
1:17 熱心に求めて知ったことは、結局、知恵も知識も狂気であり愚かであるにすぎないということだ。これも風を追うようなことだと悟った。
1:18 知恵が深まれば悩みも深まり/知識が増せば痛みも増す。
●快楽の空しさ
新共同 伝 2:1-2
2:1 わたしはこうつぶやいた。「快楽を追ってみよう、愉悦に浸ってみよう。」見よ、それすらも空しかった。
2:2 笑いに対しては、狂気だと言い/快楽に対しては、何になろうと言った。
●時と、人間の幸福
新共同 伝 3:1-2
3:1 何事にも時があり/天の下の出来事にはすべて定められた時がある。
3:2 生まれる時、死ぬ時/植える時、植えたものを抜く時
●戦争の時があり、和睦の時がある。
新共同 伝 3:12-13
3:12 わたしは知った/人間にとって最も幸福なのは/喜び楽しんで一生を送ることだ、と
3:13 人だれもが飲み食いし/その労苦によって満足するのは/神の賜物だ、と。
●正義と人間の運命
新共同 伝 3:16-17
3:16 太陽の下、更にわたしは見た。裁きの座に悪が、正義の座に悪があるのを。
3:17 わたしはこうつぶやいた。正義を行う人も悪人も神は裁かれる。すべての出来事、すべての行為には、定められた時がある。
●労苦の功罪
口語訳 伝 4:4
4:4 また、わたしはすべての労苦と、すべての巧みなわざを見たが、これは人が互にねたみあってなすものである。これもまた空であって、風を捕えるようである。
●宗教的心構え
口語訳 伝 5:2
5:2 神の前で軽々しく口をひらき、また言葉を出そうと、心にあせってはならない。神は天にいまし、あなたは地におるからである。それゆえ、あなたは言葉を少なくせよ。
●上役の腐敗
新共同 伝 5:7-8
5:7 貧しい人が虐げられていることや、不正な裁き、正義の欠如などがこの国にあるのを見ても、驚くな。なぜなら/身分の高い者が、身分の高い者をかばい/更に身分の高い者が両者をかばうのだから。
5:8 何にもまして国にとって益となるのは/王が耕地を大切にすること。
●富の空しさ
新共同 伝 5:9-10
5:9 銀を愛する者は銀に飽くことなく/富を愛する者は収益に満足しない。これまた空しいことだ。
5:10 財産が増せば、それを食らう者も増す。持ち主は眺めているばかりで、何の得もない。
●楽しめない富
新共同 伝 6:1-2
6:1 太陽の下に、次のような不幸があって、人間を大きく支配しているのをわたしは見た。
6:2 ある人に神は富、財宝、名誉を与え、この人の望むところは何ひとつ欠けていなかった。しかし神は、彼がそれを自ら享受することを許されなかったので、他人がそれを得ることになった。これまた空しく、大いに不幸なことだ。
●人間の不満足
新共同 伝 6:12
6:12 短く空しい人生の日々を、影のように過ごす人間にとって、幸福とは何かを誰が知ろう。人間、その一生の後はどうなるのかを教えてくれるものは、太陽の下にはいない。
●より善い生活
新共同 伝 7:10-11
7:10 昔の方がよかったのはなぜだろうかと言うな。それは賢い問いではない。
7:11 知恵は遺産に劣らず良いもの。日の光を見る者の役に立つ。
●善い生き方 口語訳
伝 7:15 7:15
わたしはこのむなしい人生において、もろもろの事を見た。そこには義人がその義によって滅びることがあり、悪人がその悪によって長生きすることがある。
●人は知恵からほど遠い
新共同 伝 7:23-24
7:23 わたしはこういうことをすべて/知恵を尽くして試してみた。賢者でありたいと思ったが/それはわたしから遠いことであった。
7:24 存在したことは、はるかに遠く/その深い深いところを誰が見いだせようか。
●時と裁き
新共同 伝 8:7-8
8:7 何事が起こるかを知ることはできない。どのように起こるかも、誰が教えてくれようか。
8:8 人は霊を支配できない。霊を押しとどめることはできない。死の日を支配することもできない。戦争を免れる者もない。悪は悪を行う者を逃れさせはしない。
●義人の幸せ
新共同 伝 8:13
8:13 悪人は神を畏れないから、長生きできず/影のようなもので、決して幸福にはなれない。
●人生の神秘
新共同 伝 8:16-17
8:16 わたしは知恵を深めてこの地上に起こることを見極めようと心を尽くし、昼も夜も眠らずに努め、
8:17 神のすべての業を観察した。まことに、太陽の下に起こるすべてのことを悟ることは、人間にはできない。人間がどんなに労苦し追求しても、悟ることはできず、賢者がそれを知ったと言おうとも、彼も悟ってはいない。
●生きる楽しみ
新共同 伝 9:9-10
9:9 太陽の下、与えられた空しい人生の日々/愛する妻と共に楽しく生きるがよい。それが、太陽の下で労苦するあなたへの/人生と労苦の報いなのだ。
9:10 何によらず手をつけたことは熱心にするがよい。いつかは行かなければならないあの陰府(よみ)には/仕事も企ても、知恵も知識も、もうないのだ。
●思いがけないこと
新共同 伝 9:11-12
9:11 太陽の下、再びわたしは見た。足の速い者が競争に、強い者が戦いに/必ずしも勝つとは言えない。知恵があるといってパンにありつくのでも/聡明だからといって富を得るのでも/知識があるといって好意をもたれるのでもない。時と機会はだれにも臨むが
9:12 人間がその時を知らないだけだ。魚が運悪く網にかかったり/鳥が罠にかかったりするように/人間も突然不運に見舞われ、罠にかかる。
●無視される知恵
新共同 伝 9:14-15
9:14 ある小さな町に僅かの住民がいた。そこへ強大な王が攻めて来て包囲し、大きな攻城堡塁を築いた。
9:15 その町に一人の貧しい賢人がいて、知恵によって町を救った。しかし、貧しいこの人のことは、だれの口にものぼらなかった。
●知恵ある者の心の安定
新共同 伝 10:4-6
10:4 主人の気持があなたに対してたかぶっても/その場を離れるな。落ち着けば、大きな過ちも見逃してもらえる。
10:5 太陽の下に、災難なことがあるのを見た。君主の誤りで
10:6 愚者が甚だしく高められるかと思えば/金持ちが身を低くして座す。
●賢者と愚者
口語訳 伝 10:12-13
10:12 知者の口の言葉は恵みがある、しかし愚者のくちびるはその身を滅ぼす。
10:13 愚者の口の言葉の初めは愚痴である、またその言葉の終りは悪い狂気である。
●賢明な生き方
口語訳 伝 11:1
11:1 あなたのパンを水の上に投げよ、多くの日の後、あなたはそれを得るからである。
口語訳 伝 11:6
11:6 朝のうちに種をまけ、夕まで手を休めてはならない。実るのは、これであるか、あれであるか、あるいは二つともに良いのであるか、あなたは知らないからである。
●人生の楽しみ
新共同 伝 11:8
11:8 長生きし、喜びに満ちているときにも/暗い日々も多くあろうことを忘れないように。何が来ようとすべて空しい。
新共同 伝 11:10
11:10 心から悩みを去り、肉体から苦しみを除け。若さも青春も空しい。
●人生の最後の日々
口語訳 伝 12:1
12:1 あなたの若い日に、あなたの造り主を覚えよ。悪しき日がきたり、年が寄って、「わたしにはなんの楽しみもない」と言うようにならない前に、
口語訳 伝 12:7
12:7 ちりは、もとのように土に帰り、霊はこれを授けた神に帰る。
●あとがき
新共同 伝 12:13
12:13 すべてに耳を傾けて得た結論。「神を畏れ、その戒めを守れ。」これこそ、人間のすべて。
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●結論。コヘレトの追及した人生の幸福は新約で実現した。人生は肯定である。
塚本訳 ヨハ 4:13-14
4:13 イエスは答えられた、「この(井戸の)水を飲む者はだれでもまた渇くが、
4:14 わたしが与える水を飲む者は永遠に渇かない。そればかりでなく、わたしが与える水は、その人の中で(たえず)湧き出る水の泉となって、永遠の命に至らせるであろう。」