200922-1  

第47回塚本虎二先生記念会(20201025日)感話  高橋照男

 

スイスの神学者エミール・ブルンナーは、1953年にICUの教授として来日して日本の無教会に接し、これを世界に紹介したことで知られている。ブルンナーの逝去からすでに54年、無教会は今や神学論争の時代は過ぎ去り、各所で日本の隅の土台石になっている。聖書に権威を認めているので信仰が健全であるとの評価が定着している。この現象を見ると無教会は神が日本に植えた樹であることを感じる。塚本虎二先生は、「ブルンナーには、無教会が知識人や学者ばかりでなく、農業者や療養所の病人のような、社会の目立たないところに隠れて浸透していることを知ってもらいたかった。」と言われた。

私がインターネットで発信しているホームページの中の「聖書研究の部」は、塚本先生が示された聖書の読み方を実行するために聖書引照の多くを編集したものである。海外の在留邦人を含め、教派を超えて一日平均約300人、土曜日は約500人の閲覧者がある。

このサイトの目的は、クリスチャンが一人で聖書を学ぶための資料で、人間の思想によらないので最も安全且つ権威と威力がある。しかも無料である。牧師や伝道者だけでなく、最近になって路上生活者もスマートホンでこれを利用していることが分かったのには衝撃であった。「神の言葉」はどんなところにも自然に浸透していく生命力があることを実感した。

初代教会における福音の広まり方は、偉大な人物によるのではなく、「福音それ自身の力によった」と言われている(ダイスマン)。インターネットによる福音の種まきの現代的姿もここにある。集客でなく福音の発信、これが「21世紀の無教会の姿」であると思う。真理は自然に外に漏れ出る(ルカ816-17)。沖に網を下ろせ(ルカ51-11)。

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