「塚本虎二論」の論じにくさ

橋照男

 

日本プロテスタント思想史を専攻しておられる赤江達也氏(関西学院大学社会学部教授)は、このたび岩波書店から(仮称)「塚本虎二論」を出版されるべく研究中だと伺っている。その素描と思われるものが、岩波書店の「図書」2021年9月号「無教会と皇室」に書かれている。ところがその中で驚くべきことに、「塚本虎二論」は論じにくいと実に的を突いたことを言っておられる。なぜ論じにくいのか。私としては、ピラトがイエスを理解しようとしたが結局この世の知恵では捉えきれなかったことに似ていると思った。つまり、塚本虎二先生の頭は常に天にあってこの世に属していなかったからであると考えられる

 

塚本訳 ヨハ 18:36-38

18:36 イエスが答えられた、「わたしの国はこの世のものではない。もしわたしの国がこの世のものであったら、わたしの手下の者たちが、わたしをユダヤ人に渡すまいとして戦ったはずである。しかし実際のところ、わたしの国はこの世のものではない。」

18:37 そこでピラトが言った、「では、やっぱりお前は王ではないか。」イエスが答えられた、「王だと言われるなら、御意見にまかせる。わたしは真理について証明するために生まれ、またそのためにこの世に来たのである。真理から出た者はだれでも、わたしの声に耳をかたむける。」

18:38 ピラトがたずねる、「真理とは何か。」、ピラトはこう言ったのち、またユダヤ人の所に出ていって言う、「あの人にはなんらの罪も認められない。

 

 

inserted by FC2 system